一般社団法人 情報処理学会
「会員の力を社会につなげる」研究グループ
SSR: Society's Social Responsibility Group

情報処理学会「会員の力を社会につなげる」研究グループ設立趣旨書



「会員の力を社会につなげる」研究グループ新設について(お願い)

2011年12月27日

社団法人 情報処理学会
フロンティア領域委員長殿


下記のとおり研究グループの設立を提案したく、よろしくお取計いくださいますようお願いします。

1.設立希望研究グループ名

「会員の力を社会につなげる」研究グループ
2.所属希望領域名
フロンティア領域
3.設立の趣旨
情報処理教育委員会が検討している『情報処理学会 教育ビジョン 2011』には、情報処理学会がこれから教育に取り組んでいく際の基本的な考え方について記載されており、「誰もが主体的に情報技術に向き合う社会を実現する」を目標としています。また、この目標を達成するための学会と学会員の活動指針として、次の3つを掲げています。
  • 情報および情報技術に関わる研究開発において、「誰もが主体的に情報技術に向き合う社会」の実現に向けて努めるとともに、それに向けての人材育成と研鑽の推進に努めます。
  • 情報および情報技術の分野を目指す学生の教育において、「誰もが主体的に情報技術に向き合う社会の実現」を目指し、他分野の人と協働していける力の育成に努め、またそのような活動の推進に努めます。
  • 「誰もが主体的に情報技術に向き合う」ことを可能とするために、情報および情報技術について広く社会に説明するよう努めるとともに、教育に携わる諸部門とのさまざまな形での協働の推進に努めます。

情報処理学会は、設立以来、情報処理分野で指導的役割を果たすべく活動してきました。言い換えれば、情報処理学会自身が情報処理に関する人材の宝庫です。そこで、本研究グループでは、情報処理学会に所属する会員の力を、上記活動指針に挙げられている協働につなげるための環境や仕組みを試行します。

具体的には、次のようなニーズに答えられる環境や仕組みの試行を通して、協働の場を整備していきます。
  • 教育イベントの講師(ボランティア)に困っていませんか?
  • 各地の小中高校などで「情報の面白さと情報関連の職業の魅力」を伝えるイベントに講師として参加したいと思ったことはありませんか?
  • 学問領域の学協会に呼び掛けるなど、橋渡しをするような活動をしたいと思ったことはありませんか?
  • 有識者(マスターズ)のみなさん、互いの相互情報交換だけではなく、後継世代を触発したいと思ったことはありませんか?
  • 小中高の授業や課外活動で使えるようなプログラミング教育のテキストを作成したり、授業に際して助言や補助を必要とする先生をお手伝いしたいと思ったことはありませんか?
4.研究分野
(1)情報教育活動全般
5.予想規模
予想登録者数:50名
6.活動計画概略
シンポジウムの開催支援 1回
教育イベントの講師の派遣支援 2回
7.発足希望時
2012年01月
8.存続予定期間
2年間
9.発起人
筧 捷彦 早稲田大学
寺田真敏 (株)日立製作所(教育担当理事)
平田圭二 公立はこだて未来大学(教育担当理事)
神沼靖子 情報処理学会フェロー
大岩 元 相愛大学
白鳥則郎 東北大学
水越一郎 NTT東日本
田中俊昭 KDDI研究所
水野忠則 愛知工業大学
萩谷昌己 東京大学
角田博保 電気通信大学
久野 靖 筑波大学
児玉公信 情報システム総研
吉村 晉 サレジオ工業高等専門学校
佐渡一広 群馬大学
掛下哲郎 佐賀大学
辰己丈夫 東京農工大学
10.予想される研究会役員
主査 筧 捷彦 早稲田大学
幹事 寺田真敏 (株)日立製作所
   平田圭二 公立はこだて未来大学
11.連絡先
寺田真敏 (株)日立製作所 横浜研究所
12.その他
設立の趣旨で提示している『情報処理学会 教育ビジョン 2011』の全文は、次の通りです。
https://www.ipsj.or.jp/release/vision20111227.html

情報処理学会 教育ビジョン 2011
−誰もが情報技術に主体的に向き合う社会の実現をめざして−

情報処理学会


本ビジョンは、情報処理学会がこれから教育に取り組んでいく際の基本的な考え方を宣言するものです。

2011年は、科学技術の使用に対して大いなる警告がなされた年となりました。3月11日の大震災は、科学技術を社会に適用する際には、これまで以上にさまざまな視点から問題を認識し、その解決を図っていく必要があることを明らかにしました。特に、これからは、誰もが専門家と手を携えつつも「科学技術に主体的に向き合う」こと、具体的には、科学技術がどのような利便性をもたらしリスクを伴うかを考えた上で、何を社会に取り入れ何を取り入れないでおくかを判断していくことが、求められると考えられます。

同じことが、情報技術にもあてはまり、それが社会に及ぼす影響もまた、極めて重大なものであり得ます。これまで情報処理学会は、専門家集団として情報技術そのものの研究・開発に注力しつつ、その結果を社会に適用することを推進してきました。その結果、情報技術が社会基盤として普及し、われわれの生活に欠かせないものとなりました。一方、その進歩のスピードがあまりにも速いために、多くの人は、世の流れに任せ、やむを得ず、よく分からないまま、情報技術を使っている状況も明らかになってきています。これにより、情報技術の持つ力を十分に活かせていないのみならず、そのリスクが十分に管理されておらず、自らの利益を損なったり、他人に迷惑や損害を与えたりすることが現実に起きています。

このような状況を打破し、情報技術がすべての人に恩恵をもたらすような情報社会に到達するためには、技術者・研究者による「知識の発展・集積」だけでは不十分であり、加えて、誰もが「情報技術に主体的に向き合う」こと、すなわち、情報や情報技術がどのようなものであり、その利用が社会にどのような利便性やリスクをもたらすかを考え判断した上で、情報技術を取り入れ利用していくことが必要であり、それを実現する手段は各自の「学び」と、それを促す「教育」をおいて他にありません。情報処理学会は専門家集団としてあらためて「教育」に注力し、このことを最大限にサポートしていく必要があります。

以上を踏まえて、情報処理学会は、次の目標を掲げます。

目標: 誰もが主体的に情報技術に向き合う社会を実現する

前述したように、「主体的に情報技術に向き合う」とは、「情報や情報技術がどのようなものであり、その利用が社会にどのような利便性やリスクをもたらすかを考え判断した上で、情報技術を取り入れ利用していく」ことを意味します。これは、情報技術を「世の流れに任せ、やむを得ず、よく分からないまま」使っている、という現状に対する反省から必然的に導かれたものです。

ただし、このことは「ソフトウェアの使い方や具体的な情報技術について、これまで以上に学んで欲しい」という意味ではありません。既に現在の教育課程において、必要以上に多くの時間が「ソフトウェアの操作方法を教える」ことに割かれているのが現状です。われわれはこの時間を、より根本的な「情報や情報技術の本質」を学ぶ時間に振り向けることで、児童・生徒・学生の意識や考え方をより望ましい方向に向かわせ、「主体的に情報技術に向き合う社会」を実現できると考えます。

またその実現も、「誰かに頼む」のではなく、われわれが専門家集団として先頭に立って「学ぶのに適した教材・教具や教育方法」の開発に注力するとともに、教育そのものについては、これに取り組む人や他組織と協働し、その活動を直接的にサポートしていく所存です。

われわれは、本目標に向けた学会と学会員の活動の指針として、次の3つとします。
  • 情報および情報技術に関わる研究開発において、「誰もが主体的に情報技術に向き合う社会」の実現に向けて努めるとともに、それに向けての人材育成と研鑽の推進に努めます。
  • 情報および情報技術の分野を目指す学生の教育において、「誰もが主体的に情報技術に向き合う社会の実現」を目指し、他分野の人と協働していける力の育成に努め、またそのような活動の推進に努めます。
  • 「誰もが主体的に情報技術に向き合う」ことを可能とするために、情報および情報技術について広く社会に説明するよう努めるとともに、教育に携わる諸部門とのさまざまな形での協働の推進に努めます。
「誰もが主体的に情報技術に向き合う社会」を実現することは、もちろん容易ではありません。私たち会員すべてが、専門とする分野・方面の違いに関わらず、等しく努力を重ねて行かなければなりませんし、同時に、情報や情報技術と人間や社会との関係に関心を持つ人やコミュニティとのさまざまな協働が行えてはじめて、この目標に向かって進んで行けると考えています。

本目標に向けての、会員各位ならびに関係各位のご理解とご協力をお願い申し上げます。


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Last modified: 2021/09/20 09:39:49
First Published: 2014/12/05